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子の送迎、食事作り…「がんママ」と家族の孤独 集う場で見た10年

専門家と当事者の声

支援の現場では、制度と心のあいだに橋をかける仕事が日々続いています。東京都のがん診療連携拠点病院には「がん相談支援センター」が設置され、治療の情報、就労支援、子どものケアなどの相談を無料で受け付けています。電話でも対面でも相談でき、必要に応じて地域の子育て支援や福祉資源へつなぐことができます。さらに、NPOや患者会のピアサポートでは、同じ経験をした人が隣に座り、「分かるよ」と言葉を添えてくれる。朝日新聞の記事が伝えた集いの十年は、こうしたピアの力が“続く”ことでどれだけ人を支えるかを示していました。続けることは、勇気です。続く場は、希望の貯金箱のようなものです。

  • 伴走の視点:支援者は「代わりにやる」より「一緒にやる」。地図を一緒に開き、最初の電話や申請に同席する。
  • 家族丸ごとの支援:母だけでなく、父、祖父母、子どもの心も同じテーブルにのせる。子どもの年齢に合わせた説明と安心のルーティンづくり。
  • 制度の翻訳:専門用語を暮らしの言葉に置き換える。「いつ」「どこで」「誰と」を具体化し、選択肢を三つに絞る。
  • 時間のケア:通院前後の「少し休む時間」を確保。送迎や家事支援とセットで考える。

・通院前夜は「作らないごはん」を許す(冷凍・総菜の活用)
・朝の会話は三分。「今日のお願い」を一つだけ
・学校の先生へ「調子の波」のメモを月1回

・「心配なことカード」を玄関に置く
・帰宅後の合言葉は「ただいま、ぎゅ」
・病院の日は夜の読み聞かせを1冊短く

「ここは答えを出す場所ではない」

支援者の言葉

この一言は、安心の土台を整えます。答えを急がない空間では、涙の温度が下がり、呼吸が整い、言葉がゆっくり選べる。雪解けのように、固まっていた心が少しずつやわらいでいくからです。あなたの家でも、同じ原則を小さく取り入れられます。夕方の10分は「答えない時間」。悩みを聞き切ることだけに集中する。提案は翌朝にする。これだけで、親子の会話に光が差すことがあります。

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