
子の送迎、食事作り…「がんママ」と家族の孤独 集う場で見た10年
心を回復させる日常の習慣
心の回復は、特別な儀式より、繰り返せる小さな習慣から。四つの柱を、東京の暮らしに即して整えましょう。呼吸は、最も手軽な自律神経ケア。睡眠は、体と心の修復工場。会話は、孤独への橋。自然接触は、都会でも十分に可能です。どれも「短く、頻度高く」が続けやすいコツ。雨の日でも、風の強い日でも、室内でできる形に置き換えれば、季節に左右されにくくなります。
- 呼吸:4秒吸って6秒吐くを5回。信号待ち、エレベーターの中、病院の待合で。吐く息を長くするほど落ち着きが戻りやすいとされます。
- 睡眠:通院日前夜は「眠れなくても横になればOK」と決める。枕元の光を弱くし、就寝1時間前の画面時間を半分に。
- 会話:一日一回の「事実・気持ち・お願い」を各10秒で。例)事実:今日は通院。気持ち:少し不安。お願い:帰宅後10分休ませて。
- 自然接触:ベランダで朝日を浴びる、公園の大きな木に触れる、鉢植えの水やりをする。光と緑は、気分の回復にやさしく効きます。
東京都内には、短時間で自然を感じられる場所が多くあります。区立公園、川沿いの遊歩道、神社の並木道。遠出をしなくても、朝の散歩で季節の匂いを吸い込むだけで心拍が落ち着くことがあります。子どもと歩くなら、歩幅を合わせるよりも、視線を合わせることを意識してみてください。花の色、雲の形、風の向きを言葉にしてみる。小さな発見の共有は、親子の安心を増やします。雨の日は、窓を少し開けて、音を聞くだけでもいい。雨音は、思考の速度をゆるめる働きがあるとされます。

提案:小さな行動から始めるセルフケア
「完璧ではなく、一緒に」
家庭でできることを、三つの輪で整理してみましょう。あなたの「今」の体力と時間に合わせ、できることだけ選べば十分です。大切なのは、続けられることと、助けを呼びやすい形にしておくこと。晴れの日も雨の日も回る仕組みは、小さな歯車の足し算から生まれます。
- 1)暮らしの再設計(1週間の見取り図):診療、仕事、送迎、休む時間を一枚の紙に。東京23区なら移動時間の目安も書く。家族と共有。
- 2)助けの可視化(家の中のSOSのサイン):冷蔵庫に「お願いメモ」。例)洗濯物畳み10分/ゴミ出し水曜/読み聞かせ1冊。
- 3)制度への最初の一歩(今日のアクション):最寄りの「がん相談支援センター」に電話。区の子育て支援課に送迎支援の相談。ファミサポの登録日程確認。
東京で使える支援
- 東京都 がん相談支援センター(拠点病院内)
- 各区 ファミリーサポートセンター
- 病児・病後児保育(各区の実施施設)
- 子育てひろば・児童館
- 患者・家族支援NPO(例:マギーズ東京 など)
家の中の合図
- 玄関のフックに「お願い袋」(配達・郵便の一時置き)
- キッチンに「赤・黄・緑」の献立カード(赤=買う、黄=温める、緑=作る)
- 子どもの「お手伝いくじ」(3分でできる家事)
助けを呼ぶ言葉を、あらかじめ決めておくのも役に立ちます。「今は手伝ってほしい」「今日は静かに休みたい」。短い言葉ほど伝わります。家族に向けても、友人に向けても同じ。メッセージアプリの定型文に登録しておけば、体力が少ない日にもボタン一つで支援につながれる。光は、時に言葉のシンプルさから差し込みます。















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