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行動経済学が教える損失回避の声かけで、朝の涙を笑顔に変えるやさしい子育て術

損失回避が教える、子どもが動きやすくなる声かけ

行動経済学の視点から、子どものやる気を引き出す「一言」の工夫が紹介されています。出典記事では、朝に嫌がっていた子が、声かけの工夫で笑顔に向かった例が語られます。鍵は「損失回避」。人は「増える嬉しさ」より「減るつらさ」に敏感とされます。だから脅すのではなく、「守りたい時間や楽しみ」を共通財産にして、「一緒に守ろう」と誘う。たとえば「今から靴を履けたら、園での外遊びの時間を守れるね」と、やさしく具体に落とす。子は自分が関われることに安心し、動きが整います。

守りたいものを一緒に見つけ、「今、ここ」で守れる形にする。それが朝の味方。

損失回避の効果は、およそ「失う痛みは得る喜びの2倍ほど強い」とされます。数字は机上の話に見えるかもしれませんが、生活の場に置き直すと意味はシンプルです。「あとで絵本の時間が短くなるのは残念」という気持ちのほうが、「シールが1枚増えるうれしさ」より動機になりやすい。けれど、脅しは要りません。「守ろうね」という共感の毛布で包むこと。これが、萎縮ではなく自発につながる分岐点です。現場では、この言い換えが3日、1週間、1か月と積み重なるほど、朝の表情がほころんでいくのを見ます。

朝の声かけが変わる“やさしい言い換え”の実例集

  • NG寄りの言い方「早くしないと遅れるよ」→やさしい言い換え「今行けたら、園庭の時間を守れるね」
  • NG寄りの言い方「泣いてたら遊べないよ」→やさしい言い換え「涙を拭けたら、ブランコの順番も守れるね」
  • NG寄りの言い方「着替えないなら置いていくよ」→やさしい言い換え「一緒に着替えたら、玄関の風が気持ちいいね」

動きはじめの小さなサイン

  • 目線が上がる、目の中に光が戻る
  • 体の力が少し抜ける、肩が落ちる
  • 「じゃあ…」と小声の合図が出る
  • 泣き顔のままでも、動きに一歩が生まれる

「朝の数分は、1日の安心を左右する“種まきの時間”」

支援職の共通実感

当事者の声も紹介しましょう。ある母親は「前夜に“守りたいことリスト”を子どもと描いたら、朝の会話が変わった」と話してくれました。「守る」を合言葉にすると、子どもは「水筒の水を守る」「お気に入りの靴下を守る」と、自分の世界と言葉で意味づけを始めます。意味が芽吹くと行動は育ちやすい。これは教育現場でもよく見られる流れです。やさしいフレーズは便利道具というより、親子の関係に流れる風向きを整える「風見鶏」。朝ごとに少しずつ、向きを確かめれば十分です。

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