戦後80年とクリエイティブ業──中小企業のブランド戦略をどう変えるか

総括

戦後80年のニュースに寄せられた「自分にできること」という覚悟は、誰か一人の物語ではありません。個人の揺らぎから社会の構造へ、そしてまた個人へと戻ってくる往復の中で、私たちは自分の手の届く範囲を知り、手の届かないものへの敬意を育てていきます。クリエイティブ・デザイン業は「形にする力」を持っているからこそ、痛みや沈黙、希望や習慣に対して誠実でありたいと感じます。中小企業の社長にとっても、「何をつくるか」「どのように伝えるか」は、単なる制作の話ではなく、経営そのものの意思決定につながるテーマです。

企業は、「社会に何を残すか」という問いに、記念碑ではなく日常の設計で応えていく必要があります。たとえば、過去記事で扱ったようなマグロ価格高騰と飲食業の価格設計（※内部リンク：実際のURLに差し替えてください）も、日常の値付けと経営リスクをどう結びつけていくかという具体的なテーマでした。同じように、本稿のテーマである戦後80年とクリエイティブの実務も、「記憶」「物語」「表現」をどのように設計し、社会との接点に置いていくかという、きわめて経営的なテーマです。私たちの仕事が、誰かの朝を少し楽にし、夜の眠りを少し深くすることができるなら、それはすでに文化の名に値する成果だと言えるのではないでしょうか。

そして、忘れずにいたいと思います。心はいつでも、雨と光のあいだにあります。声は、聞かれると育ち、聞かれないと枯れていきます。記憶は、触れると形を変え、放っておくと遠ざかります。私たちも同じです。揺らぎの中で進んでいきます。だからこそ、今日もできる小さなことを重ねていきたいのです。湯気の向こうで、時計は静かに進み続けます。次のページに、そっと指をかけながら。

付録：参考・出典・謝辞

• 出典：［RADWIMPS 野田洋次郎の覚悟 戦後80年 自分にできることは…／NHK］（URL: https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014931691000）
• 参考：RADWIMPS公式サイト「広島 日記」ほか、戦後80年をめぐる音楽と表現に関する記述。
• 追加参考：本稿は、戦後80年という時間意識とクリエイティブ・デザイン業の社会的使命について、ストーリーテリングと経営視点を交差させる形で再構成しています。
• 参考概念：C.G.ユング「集合的無意識」、アルフレッド・アドラー「共同体感覚」、D.W.ウィニコット「ほどよい母／移行対象」、ハンナ・アーレント「人間の条件」ほか。
• 引用について：文学・思想の短い引用は20語以内に抑え、文脈に応じて要約引用を併用しました。

（文・長井 理沙）