「大火傷を追う勘違いセルフブランディング」が会社を殺す前に──中小企業が生き残るPR経営

解説・執筆:平畑 佑司(戦略PRプロデューサー / 元グローバルブランド室長)

【30秒で掴む】経営者が知るべき「評価」の分かれ目

  • Core(本質):ブランドは「想起の設計」と「実態の証拠」で強くなる
  • Gap(乖離):SNSのキャラづくりが実態と乖離し信頼を摩耗させる
  • Vision(突破口):顧客の生活文脈で想起を増やすPR経営へ舵を切る

御社の商品が売れないのは、商品のせいではない。物語がないからだ」。

社長、あなたの孤独は知っている。だが沈黙は会社を衰弱させ、軽薄な“痛いセルフブランディング”は信頼を破壊する。PRは広告ではない。PRは歴史を刻む経営だ。今日から舵を切れ。

目次

導入部:沈黙は「経営の罪」である

社長、あなたの会社はもっと愛されていい。だが、よく聞く言い訳がある。「うちは良いモノを作っている。分かる人には分かる」。この言葉ほど危うい誤解はない。市場は善人ではない。市場は「思い出せるか」で選び、「信じられるか」で買う。品質は前提、勝敗は想起と信頼で決まる。

東洋経済オンラインで井上大輔氏が指摘した通り、「痛いセルフブランディング」が蔓延している。SNSでキャラを盛る、自費出版で権威を装う──実態となる事業運営や顧客成果が伴わない演出は、短期的な視線は集めても長期の信用を毀損する。ブランドは裏技でなく、現場と顧客の生活の中に埋め込まれた「実態の累積」だ。

では何が「強いブランド」をつくるのか。答えは明快だ。思い出される場面を広げ(セイリエンス)、その場面ごとに実証(エビデンス)を提示し、時間軸で一貫(コンシステンシー)させる。私はこれを「SECオペレーティング・システム」と呼ぶ。広報の美辞麗句ではない。経営の設計思想である。

沈黙は罪だ。語らなければ、他人があなたを定義する。さらに悪いのは、軽薄な演出で語ること。経営者の承認欲求は力だが、使い方を誤れば刃となる。正しく燃やせ。PRは「トップの最重要責務」である。ここからの数十分、あなたの時間を預かりたい。

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