ヤクルト】高橋奎二が1200万円減で更改「何もできなかった1年」 

Q. なぜ年俸は下がったのか?

A. 出場可用性の低下と、チームへの直接的な貢献が限定されたからだ。プロの評価は厳しいが、明確でもある。投手は「どれだけ、いつ、どの質で」投げられたかが価値になる。故障や不振は、選手自身も最も悔しい。高橋が「あの一年」をそう断言したのは、成績の上下の前に、チームの肩にどれだけ自分の重さを預けられたかという、矜持の部分だったのだろう。

Q. “フル回転”とは具体的に何を意味するのか?

A. 25前後の先発登板、150回前後の投球回、そしてQS率50%超――数字にすればこうなるが、本質は「いつでも投げられる状態でいること」。投げる日に合わせて体と心を合わせ、投げない日は次の登板のために“投げる準備”を進める。勝利は、当日よりも前日までの積み重ねで決まる。フル回転は、前日から勝つという宣言だ。

Q. 再発を防ぐ健康マネジメントは?

A. 負荷の階段設計回復の見える化が鍵だ。米国のスポーツ医療機関や国内のスポーツ科学の知見でも、投球数・強度・回復時間の相関管理は故障予防の肝とされる。ガジェットに頼りすぎず、主観(RPE)と客観(心拍・睡眠・可動域)を合わせる。“体の声を聞く”という言葉は情緒的に聞こえるが、実は科学の言葉だ。

Q. ビジネスパーソンにも活かせる要点は?

A. 「仕事の稼働率」を上げるには、やる日整える日のリズムが不可欠だ。睡眠を削って残業を増やすのは、短期の勝ちを取りにいく代わりに長期の価値を落とすことに近い。高橋の“フル回転”は、私たちが日常の「フル稼働」を設計するヒントにもなる。勝つ日は、前日から始まっている。

KPI投手(来季の理想)ビジネス(翌月の理想)共通する設計
可用性80〜90%稼働健康欠勤ゼロ睡眠・回復の固定化
QS率50%超主要PJの達成率集中のピークを設ける
負荷投球数の階段タスクの波高負荷→中負荷→回復
再現性フォーム安定手順の定着標準化と振り返り
スポーツと仕事の「フル回転」をつなぐ設計図

「勝負の9割は“前日”に決まっている。」

文・黒田 悠真

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