
食品3500品目値上げで粗利が消える:飲食店「価格設計・仕入れ・契約」3点セット
現状分析:インフレの正体と持続性
「構造インフレ」とは何ですか:経済的定義
構造インフレは、一時的な需給ショックではなく、制度・市場構造の変化によって価格上昇圧力が持続する状態を指します。本件では、次のメカニズムが同時進行しています。(1)円安により輸入食材・資材が恒常的に高コスト化します。(2)エネルギー価格の変動が大きくなります。(3)物流の時間外規制と人材不足で運賃が趨勢的に上がりやすいです。(4)労働需給ひっ迫と最低賃金の継続的な引き上げがあります(厚労省:最低賃金)。(5)B2B取引の固定価格・値下げ慣行が残ると川下の利益が毀損します。これらが重なると、コストショックが減衰しにくく、次の価格改定までの間隔が短くなりやすいです。
つまり、個社対応だけで吸収するのではなく、制度・契約・運用の「型」を変える必要があります。(インフレ時代の値付けを意思決定フレームで整理する方法)。
データが示す不都合な真実
複数の統計は、食品関連の価格上昇が他品目より粘着的であることを示しやすいです。以下はCPI、PPI、為替・賃金の指標を俯瞰した整理です。数値は一次情報(総務省・日銀・厚労省)を優先し、年平均などは公表値に基づいて確認してください(一次情報リンクは本文中に貼っています)。
飲食業の損益構造を簡略化すると、材料費比率は30〜35%、人件費は30%前後、家賃・光熱・物流などが15〜20%になりやすく、営業利益率は3〜6%程度になりやすいです。総コストが5%上昇して売価が据え置きなら、営業利益は半減か赤字化しやすいです。逆に、売価を3%引き上げ、メニュー構成を見直し、調達と歩留まりを改善すると、営業利益率を維持・回復できる確率が上がります。
| シナリオ | 売上 | 材料費 | 人件費 | その他 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 基準(改定前) | 100.0 | 33.0 | 30.0 | 34.0 | 3.0 | 3.0% |
| コスト+5%、価格据え置き | 100.0 | 34.7 | 31.5 | 34.8 | -1.0 | -1.0% |
| コスト+5%、価格+3% | 103.0 | 35.1 | 31.5 | 35.0 | 1.4 | 1.4% |
| 価格+3%+歩留まり改善(+2pt) | 103.0 | 33.1 | 31.3 | 34.7 | 3.9 | 3.8% |
「価格据え置き」は守りに見えて、損失を固定化しやすいです。 3〜5%の価格改定は、業態や客層によって差はありますが、設計次第で来店数の落ち込みを限定できます。むしろ、原価設計の甘さ、在庫ロス、調達契約の硬直性が、利益毀損の主因になりやすいです。















この記事へのコメントはありません。