
食品3500品目値上げで粗利が消える:飲食店「価格設計・仕入れ・契約」3点セット
現場・市場の視点:飲食業への経済的インパクト

飲食業のコスト感応度は業態で異なります。粉類・油脂・砂糖依存が高い揚げ物・ベーカリーは国際市況と為替の影響を受けやすいです。肉比率が高い焼肉・ステーキは飼料高と為替の影響が強いです。寿司・海鮮は燃料・漁獲・為替の三重影響で変動が大きくなりやすいです。一方で、カフェは原価率が相対的に低くても、賃料と人件費の感応度が高く、人手不足に弱いです。
| 業態 | 主要コスト要因 | 為替感応度 | 労務感応度 | 物流感応度 | 総合リスク |
|---|---|---|---|---|---|
| ラーメン | 小麦、油脂、肉、エネルギー | 高 | 中 | 中 | 高 |
| 寿司 | 鮮魚、米、醤油、冷蔵物流 | 高 | 中 | 高 | 高 |
| 焼肉 | 牛肉、タレ、ガス | 高 | 中 | 中 | 高 |
| カフェ | 豆、乳製品、ベーカリー、賃料 | 中 | 高 | 中 | 中〜高 |
| ベーカリー | 小麦粉、バター、砂糖、包装 | 高 | 中 | 中 | 高 |
物流では「2024年問題」で中距離の小口配送の運賃が上がりやすく、配送頻度・ロット・納品時間帯の見直しが直接のコスト削減につながります(国交省:物流)。労務では、厨房スキルの属人性が高い店舗ほど、時給上昇に耐性が弱くなりやすいです。ですので、標準レシピ・下処理の共通化・工程の簡素化といった工程の価格設計が、原価と労務の双方に効きやすいです。
関連して、メニュー構成で粗利を守る考え方は、内部記事でも整理しています(メニューエンジニアリングで粗利を守る基本)。単価よりもバスケット、単品よりも構成が重要です。
【Q&A】制度と課題の深層
Q. なぜ食品だけ値上げが続きやすいのですか?
A. 食品は輸入依存とエネルギー依存が高い産業連関構造にあり、円安と燃料高の二重の影響を受けやすいです。さらに、包装材(樹脂・紙)と物流の比重が高く、賃金上昇の影響が川上・川中で重複しやすいです。加工度が高いほど、この傾向は強まりやすいです。
Q. 値上げを先送りすれば顧客を守れますか?
A. 短期の数量を守れても、粗利が消えると品質や人材投資が難しくなり、中期的に顧客価値を落としやすいです。損失回避の心理は自然ですが、「値上げの先送り」が最大の損失になり得ます。価格改定と同時に、価値提案(量・品質・体験)を説明することが重要です。
Q. 為替や原材料の上振れはいつまで続きますか?
A. 為替は金利差・経常収支・リスク選好の影響を受けるため、短期予測は困難です。ただし、輸入コストの高止まりリスクは残ります。だからこそ、結論として「当てに行く」のではなく、ヘッジと契約設計で管理するほうが再現性が高いです。















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