イクラ高騰は構造インフレ:粗利を守る価格連動×小容量

現状分析

「秋サケ資源ショック」とは何ですか?(経済的定義)

本稿でいう「秋サケ資源ショック」とは、(a)北海道・東北沿岸に回帰する秋サケ(主にシロザケ)の来遊数が落ち、(b)それに起因してイクラ原料(生筋子)価格が上がり、(c)輸入魚卵の代替調達コストも円安や物流・決済摩擦で上がる、という三つが同時に起きて供給制約が持続する状態を指します。短期の需給ショックではなく、回復までの時間が長いのが特徴です。

とくにサケは季節性が強く、秋のピーク需給が年末年始需要と重なるため、価格転嫁が遅れるほど粗利圧縮が加速します。輸入代替として使われるトラウト卵(ニジマス)なども、為替の影響を受けやすく、完全な代替になりにくいです。その結果、消費者の買い控えが起きると、需要が戻りにくい「永久的な需要逸失」になりやすい点に注意が必要です。

データが示す「不都合な真実」

公開統計には速報性の限界があるため、本稿では推計を含みます。一次統計が更新された段階で、数値は必ず補訂してください(この運用が、読者と検索エンジン双方の信頼を守ります)。なお、サケの来遊速報・回帰率の推移は水研機構が整理しています(外部リンク)。

指標2018–2020平均2023年2024年末見通し※備考
北海道・東北 秋サケ来遊数100とした指数60〜70(推計)65前後(推計)資源量は低水準で横ばいです
生筋子・イクラ卸(kg)100とした指数150〜170(推計)160〜180(推計)年末に向け高止まりしやすいです
輸入魚卵のロシア依存度高水準(50%超)※推計高水準(変わらず)高水準(変わらず)実効コストは円安で上がります
為替(USD/JPY平均)110前後140台140〜150台円安の長期化が前提になりがちです
注:指数は2018–2020年平均=100。各値は産地・市場の聞き取りと公開データからの推計を含みます。
項目通常期価格高騰期差分の粗利影響
原料(生筋子)仕入単価1,0001,500-500
加工歩留まり(%)8582-3pt
販売単価(100g当たり)1,2001,450+250
粗利(100g当たり)+100-50-150
注:単位は相対値です。歩留まり低下と仕入高が同時に進むと、販売価格を上げても粗利が赤字化し得ます。

ここで重要なのは、販売価格だけで戦わないことです。数量設計(小容量・限定販売・予約制)と、価格設計(指数連動・段階値上げ)を組み合わせて、粗利率ではなく「粗利総量」を守ってください。

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