子育て支援金は“実質コスト増”か?──固定費化で中小製造のキャッシュが痩せる前にやる3手

解決策の提示:制度設計と現場の打ち手

制度と現場の両輪が必要です。政策側には「固定費化の緩和」「雇用維持インセンティブ」の設計、企業側には「固定費を生産性で相殺する」実装が求められます。

政策サイド:制度設計の五原則

  • 段階的導入(フェーズイン):初年度は総額の30〜50%に限定し、経済・賃金動向を見ながら3年でフル賦課が望ましいです。
  • 小規模事業者キャップ:常用雇用50人未満は企業負担を軽減(控除・減免)する設計が必要です。
  • 雇用維持ボーナス:雇用を維持・増加させた企業ほど負担軽減率が上がる設計が合理的です。
  • 賃金比例の上限設定:標準報酬月額の上位帯に賦課上限を設け、急増を避けるべきです。
  • サンセット条項:5年ごとの効果評価と見直しを法定化し、目的達成に応じて縮減できるようにするべきです。

結論として、「雇用を守るほど負担が軽くなる」構造にしないと、政策目的と企業行動が噛み合いません。

企業サイド:損失回避の実務10項

  • 人件費ダッシュボード:賃金・法定福利費・法定外福利・新規賦課(支援金)を月次で積み上げ管理します。
  • 価格交渉の根拠整備:合算コスト増(支援金含む)を単品見積に反映し、年2回の見直しを定例化します。
  • 変動費化:派遣・請負の最適ミックス、設備のリース化で固定費比率を抑えます。
  • 工程別ROI:自動化・省人化テーマをKPIで優先順位付けします。
  • 労働時間の再設計:多能工化・段取り短縮で稼働の平準化を進めます。
  • 賃金ポートフォリオ:ベース賃金と成果連動のバランスを見直し、総人件費の弾力性を確保します。
  • 共同購買:電力・物流・副資材の共同調達で他コストを圧縮します。
  • サプライヤー再編:歩留まり悪化・欠品リスクの高い取引を見直します。
  • 補助金・税制の併用:ものづくり補助金、業務改善助成金、賃上げ促進税制などを組み合わせます。
  • 社内説明の型:制度→影響→打ち手→KPIの順で、現場が動く説明にします。
打ち手効果指標想定効果幅(年)留意点
検査工程の自動化人時-2.0〜3.0人800〜1,500万円立ち上がり不良の一時増加に備え、試験運用します。
段取り時間短縮稼働率+5〜10pt粗利+1〜2%外段取り化、治工具統一が鍵です。
多能工化欠員時のライン停止回避残業-10%、外注-5%教育期間の生産性低下を織り込みます。
価格改定売価+3〜10%粗利+2〜6%データ根拠と、並行値上げの協調が必要です。
表3:現場の主要打ち手と金額換算の目安(※社内データで要校正)

結論として、「失わないための3手」は価格・工程・人材の同時実行です。単独では限界がありますが、3つを0.5ずつ積み上げると損益インパクトは効いてきます。社長は“固定費を増やさず、生産性で相殺する”原則を、来期の優先順位に落とすべきです。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。