子育て支援金は“実質コスト増”か?──固定費化で中小製造のキャッシュが痩せる前にやる3手


付録:比較・推移・構造化データ

制度負担と他コストの同時変動を可視化するため、主要コストの推移(仮想例)と、価格改定必要率の感度分析を示します。結論として、価格・工程・人材を同時に動かすほど、必要改定率は小さくなります。

年度電力単価物流費指数最低賃金名目賃上げ新規賦課(支援金)
20231001001,004円+3.6%0
20241151071,026円+3.1%0
2026(導入)1201101,060円(※仮)+3.0%(※仮)600〜6,000億円
表4:主要コストの推移(指数・一部仮定)
前提売上高粗利率合算コスト増必要価格改定率備考
基準50億円10%+5,880万円+11.8%電力+2,000万、物流+800万、賃金+4,000万、支援金+80万(高位)
工程改善実施50億円12%(+2pt)+5,880万円+5.1%工程改善で粗利率2pt向上時の必要改定率
部分転嫁済50億円10%+3,880万円+7.8%前期に+4%の値上げ済みの場合
表5:必要価格改定率の感度分析(※推計)

結論:「価格・工程・人材」を同時に動かすほど、必要な価格改定率は小さくなります。損失回避は“複利”で効きます。

【Q&A(追補)】実務の細点

Q5. 期中導入の場合、原価計算と単価改定のタイミングはどうすればよいですか?

A.原価差異として月次で切り出し、四半期末で暫定改定を申し入れるのが現実的です。契約更改は半期が原則ですので、期中は「臨時費目」として別建て提示すると説得的です。

Q6. 海外子会社・工場への影響はありますか?

A.国内雇用の保険賦課が対象ですので、海外拠点は直接は非対象です。ただし本社費配賦・移転価格・部材内製比率の変更により、グループ内原価へ間接影響が出ます。配賦キーの見直しは必要です。

Q7. 従業員の手取り減少による離職リスクはどう見ますか?

A.従業員負担分が定額でも、可処分所得の減少は採用・定着に影響します。企業は総報酬(賃金+福利+学び直し)で魅力を維持し、コストは工程の省人化で相殺するのが合理的です。辞めない組織の作り方:総報酬で勝つ設計も参考になります。

Q8. 業界団体を通じた協調は可能ですか?

A.可能です。公的賦課は共通コストですので、集団交渉の対象にしやすいです。業界団体を通じて「賦課上乗せ分の共通様式(見積添付書式)」を策定すると、交渉効率が上がります。


関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。