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「SNSは忘れない」——動画が凍らせる教室、ほどく社会の手わざ

【Q&A】社会の問いに答える

Q1. SNSに暴力動画が出回った。すぐにできる最優先のことは?

A. 被害者の安全確保と拡散の停止要請を同時に。まず被害生徒を安全な場所へ移し、保護者に連絡し、身体と心のチェックを行う。並行して、動画のURL・アカウント・投稿時刻を記録し、プラットフォームのガイドラインに従い削除申請を行う。校長は自治体の危機管理ラインに報告、6時間以内の「拡散停止アクション完了」を目標とする。職員個人の端末にデータを保存せず、証拠は指定の記録ストレージで保全する。

Q2. いじめと犯罪の境界は?学校はどこまで関わるべき?

A. 境界は状況によっては重なる。殴打は暴行・傷害に該当し得る。恐喝・強要、名誉毀損も視野に入る。学校は教育的対応を尽くしつつ、刑事対応の可能性を初動で切り分け、警察・児童相談所と連携する。いじめ防止対策推進法上の重大事態に該当する恐れがあれば、第三者による調査委員会の設置を検討し、学校だけで抱え込まない。

Q3. 保護者がすべき「三つの記録」と「一つの禁止」は?

A. 三つの記録は、(1) 事実(日時・場所・関与者・URL)、(2) 子の症状(医療機関の受診と所見)、(3) 学校とのやりとり(日時・担当者・回答)。一つの禁止は、被害動画の再共有。学校に提出する証拠は、クラウド共有やUSBではなく、指定の提出方法に従う。必要に応じて、自治体のスクールロイヤーや外部弁護士への相談窓口を活用する。

Q4. 教職員チームはどう動く?初動72時間の実務フローは?

A. 「司令塔・現場・外部連携・記録」の四役を同時に走らせる。以下のフローチャートを基準にし、自治体の実情に合わせてローカライズする。

時間軸主担当必須アクション到達指標
T+0〜6時間司令塔(校長/副校長)安全確保、保護者連絡、拡散停止申請、自治体報告被害者の安全確保完了/削除申請受理
T+6〜24時間現場(学年主任/担任)一次聴取、関係者分離、記録保全、医療・心理支援手配一次記録完了/支援チーム立ち上げ
T+24〜48時間外部連携(生徒指導主任)警察・児相・SNS運営と協議、重大事態相当の暫定判断外部連携の合意形成/リスク再評価
T+48〜72時間記録(事務/情報管理)文書化・保全、保護者説明、再発防止の当面策公表全行動のタイムスタンプ完備/情報共有完了
「初動72時間」フローチャート(筆者作成)

この72時間は、被害の長期化を防ぎ、教室の空気を回復させるための「最小単位」である。速度で負けない。これが唯一の戦略だ。

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