
共同親権「4月施行」で人件費が増える会社・減る会社——欠勤・離職を止める就業規則の作り方
3. 現場・市場の視点:法律・士業における経済的インパクト
法律・士業市場では、養育計画(ペアレンティング・プラン)作成、面会交流の具体化、学校・医療・転居同意のルール設計などの需要が拡大しやすくなります。企業側から見ると、従業員の調停期日や相談の増加により、人事・法務の連携コストが上がる局面が出てきます。
ここで社長が得をするのは、個別対応ではなくパッケージ化です。社労士・弁護士・EAP(従業員支援)を「一本のフロー」でつなぐと、相談の滞留が減り、結果として欠勤や離職を抑えやすくなります。
相談が増えるテーマは、ハラスメント防止とも接続します: ハラスメント防止を「制度」で回すチェックリスト
| 地域 | 離婚後共同親権 | 勤務の柔軟性の一般水準 | 企業実務の要点 |
|---|---|---|---|
| 日本(施行後) | 選択肢として導入 | 企業差が大きいです | 規程整備と運用標準化が課題です |
| ドイツ | 広く定着 | フレックス普及 | 育児と勤務の計画提示が前提です |
| フランス | 共同行使が一般 | 時間外規制強め | 合意文書の提出・保全が重要です |
| 英国 | 共有責任の原則 | 在宅・柔軟勤務権の浸透 | 勤務請求への対応が重要です |
| 豪州 | 共同責任を基本 | 柔軟勤務申請の権利が明確 | 合理的配慮の説明責任が重いです |
「ルールが変わると、最初に試されるのは企業の実務です」だからこそ、社長は「制度を作る」より先に、制度を回す仕組みに投資すべきです。
なお、国際的な家族政策や指標の入口としては、OECDのデータベースが基礎資料になります(外部リンク): OECD Family Database。
4. 【Q&A】制度と実務の論点整理
Q1. 共同親権で、企業の法的義務は増えるのですか?
A. 直接の新義務が企業に追加されるとは限りません。ただし、合理的配慮・労務管理・ハラスメント防止の観点で、実務上の注意義務は強まりやすいです。面会交流や調停期日は法定の休暇対象ではありませんが、就業規則で「特別休暇」「時間単位の中抜け」「一時在宅」を整備すると、労務トラブルの確率を下げられます。
Q2. 欠勤や生産性低下は、どれくらい見込むべきですか?
A. 一次統計は限定されるため、保守的な推計で管理するのが安全です。ここでは、従業員1,000人規模で離婚関連イベントが年率2%発生する前提で、時間損失を試算します(※推計)。
| 項目 | 前提 | 年間損失(低位) | 年間損失(中位) | 年間損失(高位) |
|---|---|---|---|---|
| 欠勤時間 | 該当者20人、1人当たり年8〜24時間 | 160時間 | 240時間 | 480時間 |
| 中抜け・早退 | 1人当たり年4〜12回・各1時間 | 80時間 | 160時間 | 240時間 |
| 合計(時間換算) | — | 240時間 | 400時間 | 720時間 |
Q3. 就業規則に何を書けば、労務紛争を避けやすいですか?
A. ポイントは「定義」「手続」「証憑」の3点です。①定義:面会交流・家庭裁判所期日・養育計画協議を対象事由に明記します。②手続:申請期限(例:3営業日前)と緊急時の当日連絡手順を定めます。③証憑:呼出状や学校通知など、必要最小限に絞って標準化します。過度な書類要求はハラスメントを招きやすいため注意が必要です。
Q4. 法律・士業は、企業にどう価値提供できますか?
A. 家事・労務のクロス領域をパッケージ化します。例:①就業規則の条文化テンプレート、②養育計画の標準フォーム、③一次相談トリアージ表、④EAP連携の初動支援です。顧問契約を「家事×労務」の月額リテイナーにして、紛争の前倒し抑制で費用対効果を示します。
(外部リンク補足)養育費・面会交流に関する関連調査の入口として、法務省資料も参照できます: 法務省|養育費・面会交流に関する関連調査













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