ニセ社長詐欺が急増――中小企業が今すぐできる会社を守る5つの仕組み

「送金してはいけない理由」を制度で明文化する

  • メールやLINEは命令の正当性を担保しない。命令の正当性は「承認ワークフローの通過」でのみ成立する。
  • “急ぎ”は最優先に扱わない。急ぎの要請ほど、冷却期間やコールバック規約の条件を厳格化する。
  • 社長・役員は「例外権限」を持たない。制度は役職より強い、を合言葉にする。
  • 経理は“ノーと言う権利”を負う。制度に反する送金要請は拒否する責務を明文化する。

「例外は攻撃者のために存在する。例外のない制度だけが資金を守る」

導入コストを懸念する声は多いが、経営の観点では“失わないこと”の価値が圧倒的に大きい。単発の数千万円の流出は、資金繰り、信用保証、取引先与信、そして経営者の責任問題へと波及する。損失回避の心理は合理的であり、投資対効果(ROI)は防げた一件で十分に回収される。

施策直接コスト運用コストリスク低減備考
多段階承認低〜中低(例外時のみ増)ERP/ワークフロー設定で即日着手可能
コールバック規約中〜大電話帳・合言葉の定期更新が要
口座ホワイトリスト・冷却取引先への周知徹底が効く
DMARC等メール認証低〜中偽装の入口を削減。万能ではない
安全なチャット運用中〜高“使わない”ではなく“使い方を固定化”

鍵は「人が気づける範囲」を前提にしない設計である。人は忙しい。だからこそ、制度の摩擦が意識の代わりを務めるべきなのだ。

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