なぜ今“フィルム”なのか?—デジタル時代に「体験価値」で差別化するデザイン経営

現場・家族の視点:クリエイティブ・デザイン業の食卓から見えること

「お母さん、なんでこれ、画面で見られないのですか?」夕食の湯気の向こうで、中学生の息子が古い一眼を持ち上げます。テーブルには、撮影帰りのコンタクトシートと、クライアントへの提案書、半分食べられた焼き鮭があります。わたしは笑って答えます。「見られないから、見ようとするのだと思います」。

ブランド案件に携わる友人のクリエイティブディレクターは言います。「フィルムは、検討の場を増やしてくれます」。彼女はプロジェクト初期にフィルムで「探索撮影の日」を設け、現像の待ち時間を使ってブランドの根っこを語り直すワークショップを組み込みました。ラボから戻ったプリントを囲んだクライアントは、「この温度が欲しかったです」と言いました。画素の解像度ではなく、時間の解像度が上がった瞬間でした。

クリエイティブ・デザイン業において、フィルムは差別化の武器になります。ただし武器は、色や粒状感だけではありません。プロセスの設計自体が価値を生みます。「待つ」「賭ける」「やり直せない」。それらが関係者の参加を促し、物語を共同制作に変えます。体験価値は、受け取るものではなく、関与して作るものになります。

一方で現実の制約もあります。コスト、納期、再現性です。ここにこそ、社長の意思決定が必要になります。つまり「趣味」ではなく、事業設計として扱うことが重要です。時間を奪われる会社は伸びにくい、という観点ともつながります(内部リンク:社長の時間を買い戻す最新ハック)。

  • プロセスの可視化:撮影から現像までの工程を図解し、待機時間も「共創時間」として設計します。
  • ハイブリッド運用:メインはデジタルで守り、要所でフィルムを挿入して「核の質感」を作ります。
  • 価格設計:原価ではなく「体験設計費」として価値に紐づけて説明します。
  • リスク管理:デジタルのバックアップ撮影、現像所の複数確保、納期逆算表を用意します。
  • 教育と共有:露出や現像の知見をチームで共有し、暗黙知を組織知にします。
デジタル時代の傾向フィルム導入で起きる変化経営への生かし方
時間即時・短期最適待機・余白の再発見スプリントに「内省の時間」を意図的に挿入します
責任やり直し前提不可逆性が集中を生みます決断の前に「賭け金」を共有し、判断の質を上げます
評価数値中心語り(意味)の共有KPIに加えて「体験の指標」を設計します
知識検索・テンプレ体験から暗黙知が生まれます制作を教育化し、人材育成に転用します

「違いは画素ではなく、時間の厚みでつくられます。」


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