建設業の倒産が増える今、「売上3億でも倒産する」社長が見落とす資金ショートの前兆10個

解決策の提示:制度設計と現場の打ち手

倒産は景気ではなく設計で防げる。キードライバーは「受注の作法(値決め)」「13週キャッシュフロー」である。次の三層で対策を設計する。

1. 値決めの作法:原価とリスクを見積に内在化する

項目実務のポイント数理・基準
実行予算の分解工種・日当・歩掛・稼働率で分解。外注比率・重機稼働を事前拘束。工種別粗利率目安:15%以上。歩掛は過去3案件の中央値。
リスクプレミアム設計変更・天候・仮設・土質に係る不確実性を定量化。期待値=発生確率×コスト。相当額を見積別紙で提示。
価格スライド条項資材(鋼材・燃料)連動のエスカレーターを契約条件に。指標:建設資材価格指数/燃料油価格指数で±2〜3%超で改定。
支払条件出来高月次検査の前倒し、部分払、前渡金の設定。目標:支払サイト45日以内、前渡金10〜20%。
歩掛改善BIM/CIM・ICT土工を活用し手戻り削減。労務工数10〜15%削減を見積に反映。

「値決めは価格提示でなく、技術提案であり、財務設計でもある。」

2. 13週キャッシュフロー:資金ショートの予見と回避

建設の資金繰りは「案件別」×「週次」で管理する。全社PLではなく、プロジェクトの出来高・支払・入金を週単位で積み上げ、13週(約1四半期)先までの資金谷を特定する。資金ギャップは手段で埋める(サイト短縮、前渡し、出来高前倒し、ファクタリング、短期融資)。

週次CFの構成内容管理指標
入金出来高払、前渡金、民間請負の回収DSO(売上債権回転日数)45日以内
出金外注費、労務費、材料費、リース、税公課DPO(買掛回転日数)60日以上の確保
運転資本売掛+在庫−買掛CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)≦0日を目標
安全資金最低現預金残高の基準月商1.5〜2か月分
CCCをマイナスにする設計(前受金・早期回収)が成長倒産を防ぐ。

ファイナンス面では、短期資金の多段化が有効だ。工種別ファクタリング(出来高債権の流動化)、保証付短期運転資金(セーフティネット保証)、金融機関のコミットメントライン設定などで「資金の層」を厚くする。DSCR(元利返済倍率)とクイック比率を月次でモニターし、警戒水準を制度化する。

3. 現場運営:工程・品質・契約の三位一体で原価ブレを抑える

  • 工程:クリティカルパスのボトルネック(外注・検査・資材納期)を前広に解消する。工程遅延は直ちに原価増に跳ね返る。
  • 品質:再施工は粗利を吹き飛ばす最大要因。品質検査の前倒しと発注者協議の記録化で手戻りを防ぐ。
  • 契約:変更契約の締結を「事後」ではなく「事前合意」で。口頭合意は原価回収の最大リスクである。

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