熊本・山江のヤマメと水が紡ぐ食の地域ブランディング——地域の食をブランド化する3つの手順

現場・表現者の視点:その他やで生まれる新たな息吹

孵化場の朝は、しずかだ。水槽をのぞき込むと、微細な泡があがるたびに、稚魚が一斉に呼吸を合わせる。横谷俊治組合長は、指先の温度で水を測る。数字は重要だが、指は嘘をつかない。流速が早すぎれば、稚魚は体を削る。遅すぎれば、意志が鈍る。ちょうどよい「詩の速度」で、育てる。それは養殖というより、編集に近い。

「渓流の女王」という名は、装飾で終わらせてはならない。“女王”の語を「売れる言葉」に変えるには、王冠に中身を通わせる三つの手順がある。これは、単価を上げるためだけの技巧ではない。地域の生活と誇りを、価格に翻訳する作法だ。

  • 手順1:物語の核を定める(由来・地形・水)—万江川の透明度、川霧の朝、孵化場の静寂。名前の来歴と、季節の仕事を核に据える。
  • 手順2:感性の設計(色・音・触感の統一)—銀青・翡翠・琥珀。流速の音、焼き上がりの皮の弾き。体験から器・紙・Webまで、色と音を統合する。
  • 手順3:経済圏の設計(価格・流通・体験導線)—宿のコース、直売所、漁体験。滞在時間を延ばすプログラムと価格の階段を用意する。
手順実装の要点測る指標想定する成果
物語の核語りの台本/季節の語彙想起されるキーワード数媒体を越えた一貫性
感性の設計カラーパレット/音のディレクションビジュアル認知/回遊率“ひと目”での判別力
経済圏の設計価格階段/滞在導線/予約体験客単価/滞在時間/再訪率持続可能な利益率
“渓流の女王”を売れる言葉に変える三段法

「価格は説明で上がらない。上がるのは、呼吸の合った体験だけだ。」

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。