熊本・山江のヤマメと水が紡ぐ食の地域ブランディング——地域の食をブランド化する3つの手順

批評と提言:創造性が社会を癒すとき

山江のヤマメは、美の物語である前に、生活の物語だ。台所の湯気、孵化場の朝礼、宿の配膳。これらを「創造的に連結」するのがブランドであり、連結の単位は“詩”ではなく“制度”だ。ゆえに、詩人の仕事は制度設計を恐れないことにある。詩は制度を冷やし、制度は詩を温める。その往復が「価格」になる。

  • 提言1:水の学校(リバースクール)—川で開く出張授業。水温・流速・音を観察し、午後は試食と語り。観光ではなく、学びの滞在へ。
  • 提言2:感性インターン—宿・孵化場・器作家の三者連携で、季節ごとの短期インターン。地域外の若者に「手触りの履歴」を積ませる。
  • 提言3:女王の晩餐会—毎秋開催。川辺で小規模なコース体験。音・光・器を統合し、限定的に価格を引き上げる。

批評は、語りの調整である。「渓流の女王」の語が、過剰に光れば、川は見えなくなる。光を少し落とす。器はマット、照明は低め、BGMは水音に譲る。そうやって、「伝える量」を減らし、「伝わる濃度」を上げる。その抑制が、地域の呼吸を守る。

結び:余韻としての未来

雨脚は弱まり、渓流がやわらぐ。稚魚は群れ、ひとつの影となって川底を漂う。やがて九月、皿に乗るその瞬間まで、だれも彼らの物語を大声で語らない。静かな調子で、必要なことだけを言う。ブランドとは、余白を売る術でもある。山江の水が書く手紙は、いまも続いている。あなたの舌が、その続きの余白を受け取る準備をしているだろうか。


参考・出典 — 出典:対象ニュース・関連資料

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(文・吉川 綾音)

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