
成果主義が会社を壊す——不正31億円事件で読む「報酬制度設計の臨界点と改革指針」5項目
【Q&A】制度と課題の深層
Q1. なぜ「過度な成果連動」が不正を誘発するのか?
A. 期待値で不正利得が正になるからである。短期コミッションが高く、検知が遅れ、制裁の確実性が低いと、合理的な(しかし望ましくない)選好でも逸脱が発生する。対策は、支払いの繰延と没収条項で「時点間」をまたいで抑止力を効かせ、非財務KPIで短期売上の比重を下げ、検知確率を上げることで、期待値を負に反転させることである。
Q2. 未返金23億円は企業にどれほどの資本負担をもたらすか?
A. 全額補償ならプレタックスで23億円の損益インパクトとなる(その他調査・再発防止投資は別途)。資本規制は一般にソルベンシー・マージン比率で管理されるが、具体比率は公表値に依存するためここでは触れない。重要なのは、資本負担そのものよりも、解約率上昇や新契約獲得コスト増という「フローの劣化」が複利で効く点である。
Q3. 「監視」を強化しても現場の創意は失われないか?
A. 監視は制約ではなく信頼の前提である。顧客保全・苦情早期解決・適合性確認を標準化すれば、営業は高付加価値の提案・リレーション構築に集中できる。非財務KPIに顧客満足、保全品質を含めるほど、現場の創意は本来の価値創造に向く。
Q4. 報酬の「上限設定(キャップ)」は優秀人材の流出を招かないか?
A. キャップ単独では誘因を歪める可能性がある。最適解は、キャップ+繰延+株式や長期業績連動のミックスで「総リターンの上振れ余地」は維持しつつ、短期現金報酬を平準化することである。優秀人材が重視するのは透明性・予見性・説明可能性であり、制度に一貫性があれば流出は抑制できる。













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