
物価高下で効く「赤字は広告費」戦略――10円セールと1万円ママチャリの経済学
解説・執筆:石垣 隆(経済政策アナリスト / 元経済紙論説委員)
- 統計事実:実質賃金は2023年▲2%台、食料CPIは前年比+6~8%(※推計)
- 構造課題:需要の価格弾力性が高い必需品で粗利が圧迫、来店頻度と購買単価の同時確保が困難
- 石垣の提言:「目玉=赤字」をKPI連動の広告費として制度化、LTVと粗利回収線を可視化
足元の物価高は家計の価格選好を「極端な値ごろ感」へ再配分させている。10円セールや1万円自転車は、赤字を意図的に作り来店頻度・回遊時間・関連購買で回収する古典的だが有効な手法である。鍵は「制度化」だ。赤字幅、補完商品の粗利、回収期間(LTV)をKPIで管理できる店だけが勝ち筋を持続できる。
目次
- 数字で読み解くニュースの全貌
- 現状分析:家計・物価・賃金の三点測量
- 現場・市場の視点:10円セール/詰め放題/1万円自転車の単位経済
- 【Q&A】制度と課題の深層
- 解決策の提示:KPI設計と運用プロトコル
- 総括:持続可能なシステムへの提言
数字で読み解くニュースの全貌
東京都心の氷点下、午前前の時点で約70人の行列。月2回の「10円まつり」では、開始3分でタマネギが空になる。クリーニング店は50円袋の詰め放題で「全部半額」、袋は完売。ディスカウント大手はライト・鍵・荷台を外して税抜1万円のママチャリをテスト販売する。共通項は明確である。価格破壊ではなく、限られたSKUに「赤字」を集中的に作り、店舗全体の粗利で回収するという設計である。これは古典的なロスリーダー(Loss Leader)戦略であるが、日本の現在の物価・賃金環境において再現性が高い。制度化の有無が明暗を分ける。
「赤字は広告費である。目玉は集客の計測装置である」。このフレーズを定量化できるか否かが競争力を決める。以下、データ→原因→解法の順で整理する。














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