
円高進行で株価1000円安、市場を覆う“損失恐怖”が連鎖した一日
本質の分析——権力構造の闇と光
為替・株価のショックが起きると、権力構造の継ぎ目が露出する。財務省は為替、日銀は金利、内閣はメッセージ。三者の力学は、しばしば「責任の等分」と「裁量の集中」という相反するベクトルを持つ。誰もが責任を共有したいが、裁量はできれば自分で持ちたい。だから、ショック時には「注視」「適切に」「総合的に」という曖昧な言葉が踊る。曖昧さは、政治の盾であり、市場の霧でもある。
「メディアが煽るから相場が荒れる」という声は半分正しい。だが、残り半分は、政治と当局が「煽りやすい余白」を残すからだ。透明性は秩序をもたらすが、交渉の余地を減らす。曖昧さは混乱を生むが、裁量の余地を残す。どちらが善かは状況次第だが、今回のような急速な変動では、透明性よりも「選択肢を残す」ことが優先されるという見方もできる。これは批判ではなく、構造の説明だ。
一方、世論は簡潔な物語を求める。「誰が悪い」「何が原因だ」。だが、相場の真相はたいてい「みんな少しずつ関与した」。金利差、企業業績、地政学、ポジション、そして人間心理。犯人は一人ではない。だからこそ、政策の責任追及が空回りし、市場の自責も進まない。ここで必要なのは、犯人探しではなく、行動の設計だ。
「注視」も「適切」も要らない。要るのは、平時に作った行動表を、非常時にそのまま実行する勇気だ。
政治・政策の側に光を見るとすれば、それは「長い絵」を描けるかどうかだ。為替に一喜一憂するのではなく、生産性、賃金、投資、規制の四点セットで、通貨の実力を底上げすること。短期のショックには最小限の介入で、長期の地力に資源を割く。これが地味で、票になりにくい。だから難しい。だがそれ以外に、持続的な相場の安定はない。
| レバー | 短期効果 | 長期効果 | リスク |
|---|---|---|---|
| 為替介入 | ボラ抑制・トレンド転換の可能性 | 持続性は限定的 | 市場への逆効果、弾切れ |
| 金融政策 | 金利差調整による通貨方向性 | 投資・賃金への波及 | 副作用(不動産・信用) |
| 構造政策 | 即効性は薄い | 潜在成長率・通貨の地力強化 | 政治コスト高、時間がかかる |













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