
不祥事コストは「制度の欠損」から生まれる──コンダクトリスクを最小化する7つの仕組み
【Q&A】制度と課題の深層
Q. なぜ「個人の資質」を入れ替えても不祥事は減らないのか?
A. 期待損失を決めるのは行動主体だけでなく制度パラメータである。権限集中と牽制不在は、同じ属性の人間でも逸脱を誘発する。行動科学の知見では、①罰の不確実性が高い、②観測可能性が低い、③規範のあいまいさが高い、の三条件で逸脱率が上がる。逆に、観測可能性の向上(ログ・可視化)と規範の明文化は逸脱の期待効用を下げる。
Q. 体罰・ハラスメントは「現場指導の厳しさ」とどう区別するのか?
A. 行動規範で閾値を明示し、可視化する。評価軸は①身体的・精神的苦痛の付与、②人格否定的言動、③目的と手段の相当性、④集団懲罰の有無、⑤記録可能性である。たとえば「腕立て◯回」等の定量的懲罰は原則禁止、コーチングは「技術指導・安全配慮・休息基準」の範囲で行うと定義すべきである。
Q. 通報窓口は設けたが、通報が来ない。機能しているのか?
A. 通報ボリュームの多寡ではなく、①匿名性、②報復禁止、③受理から初動までのSLA(サービス水準合意)、④四半期ごとの経営レビュー、の有無で評価すべきである。ACFEの統計では、ホットラインは検知の最大チャネルであり、制度の質が検知速度と損失縮小に相関する。
Q. 小規模組織はどこまでやれば「最低ライン」を満たすのか?
A. 300人以下は通報体制は努力義務だが、実務上は①匿名通報ツール(外部委託可)、②就業規則・懲戒規程の更新、③管理職研修(年1回、90分)、④一次対応SOP(テンプレート)を整えれば最低ラインを満たす。予算は年額数十万円規模(※モデル試算)である。














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