スマホで調べる前に、声を失わないために——人に聞く力とSNS時代の感性編集術

【Q&A】感性の対話

Q. 検索の速さに慣れた学生に、どう「人に聞く」を教える?

A. 「損失」を可視化する。例えば、同じテーマで(1)検索結果の要約、(2)三人の聞き取り、(3)AIによる補助まとめ——三者のアウトプットを並べる授業を行う。学生に「どれを読むと心が動くか」を投票させると、多くが(2)に手を挙げる。その理由を言語化させ、「声の粒度」を評価軸に組み込む。批評は愛の別名である。評価は、愛の方向を示す設計でなければならない。

Q. SNSで「人に聞く」行為をどう安全にデザインする?

A. 〈範囲・ルール・返礼〉の三点セットを明文化する。範囲は「半径」を決める(地元の駅周辺、特定の職種など)。ルールは個人情報・差別表現の禁止、引用の同意フォーム、アーカイブ方針。返礼は小さな特典(作品クレジット、イベント招待、寄稿の機会)を予め提示。これらを固定ツイートやハイライトに掲示し、呼びかけ自体をアーカイブ化する。安全は「透明」から生まれる。

Q. インタビューの「うまい沈黙」は、どのように作る?

A. 三拍子の呼吸を使う。5秒で訊き、7秒で待ち、5秒で畳む。これは俳句の呼吸に似ている。メモは最小限にして、相手の眼差しに焦点を合わせる。相手の言葉を繰り返す「反射」、感情に触れたら声量を下げる「減衰」、話が逸れたら「風景」を訊く(どこで、どの匂い、どの色だったか)。沈黙は空白ではない。沈黙は、語りの余韻を印字する紙だ。

Q. 生成AIは「人に聞く」を弱めますか、それとも強めますか?

A. 使い方次第で強められる。AIを「仮説生成」と「問いの磨き」に限定すれば、対面での聞き取りは深くなる。AIが提示した一般論に、具体の生活が反乱する瞬間を捉えるために、むしろ聞く技術が研ぎ澄まされる。AIは話を始める相棒であって、話を終える審判ではない。

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