高騰のカカオ──「サロン・デュ・ショコラ」に見る“値上げ時代”の購買心理と3つの価格戦略

背景と心理

「カカオショック」とは? 言葉の重みと定義

カカオショック──ここにあるのは単なる原材料の「高騰」ではない。西アフリカを中心とする主要産地の天候不順、病害虫、老朽化した農園、そして投機マネーの流入。2023年頃からじわりと上がり続けていたカカオの市場価格は、2024年に入り急激に跳ね上がり、一時は通常の約5倍、1トンあたり1万ドルを越えた。収穫量の回復が図られた後も、2025年末時点では2023年初頭の2倍余りという高値圏にあると伝えられる(出典:世界ココア機関、報道要約)。

だが、たとえ取引価格が下がっても、チョコレートの店頭価格はそう簡単には戻らない。包材、物流、人件費──生活の隅々にまで及ぶ物価高が、商品の「総コスト」を底上げする。だから私たちは、「元の値段に戻るはず」という期待と、現実の間で揺れる。その揺れは、ただの消費行動の問題ではなく、生活そのものの不安のかたちだ。

しかし同時に、この時代の消費は別の顔を持つ。特別な人に贈る高級チョコ、自分を鼓舞する「自分チョコ」。日々を生き抜くための「投資」としての甘さがある。チョコレートジャーナリスト・市川歩美さんは、今年のバレンタインを「高止まりのバレンタイン」と呼び、賢い選択が求められると指摘する。高値のなかでなお人気が続く理由は、味覚の喜びだけでなく、心の回復力に触れているからだ。

データに見る「心の揺らぎ」

項目現象背景/要因心理の動き小売への示唆
カカオ国際価格2024年に一時約5倍、1万ドル/トン超天候不順、病害、投機資金「もう高級品は無理かも」という不安原価の透明化と価格の説明責任
店頭価格総コスト上昇で高止まり包材・物流・人件費の増加値札疲れ・比較疲れ比較軸を「体験」「産地」「物語」へ
購買動機「自分チョコ」「推し活」強含み自己回復、共感コミュニティ罪悪感→自己肯定への転換小さなご褒美の正当化を支援
催事売上一部で前年超え限定性・ライブ感行列=物語への参加会場体験とオンライン連動の強化
出典:世界ココア機関(報道要約)、催事現場の声(FNN報道要約)

「価格は上がっても、気持ちは下げない。」

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