賃上げしないと人が消える。春闘5%時代に製造業が失うもの/守るもの

解決策:制度設計と現場の打ち手

制度設計は「契約」「現場」「人材」の三本柱で進めます。賃上げは善意ではなく防衛的投資です。損失回避の計量を明確にし、意思決定を標準化します。

1. 契約:原価連動+賃上げ条項を実装します

材料・エネルギー・物流に加え、「賃金の変化を考慮する」設計を契約に組み込みます。参照指標は公開統計を使い、半期または四半期で見直します。制度の背景は、公正取引委員会(外部リンク)中小企業庁(外部リンク)の発信も参照すると、交渉の根拠が強くなります。

条項例:「当該取引単価は、材料費指数・エネルギー費指数・物流費指数の加重平均に連動し、半期ごとに自動見直しします。賃上げを行った場合は、当社の賃金改定幅を根拠に協議し、必要な調整を行います。」

2. 現場:工程KPIで原資を捻出します

賃上げ原資は、粗利率の改善と売上高の拡大で賄います。現場KPIとしてOEE、段取り時間、直行率などを定義し、週次で改善を可視化します。中小ほど、少額でも効果の大きい段取り短縮から始めるのが合理的です。具体の運用はOEE週次会議の進め方(内部リンク)で整理しています。

3. 人材:賃金ポートフォリオを再設計します

採用市場の逼迫に対応し、初任給と中核層の均衡を取りながら、技能に対価を支払う賃金テーブルへ移行します。定着の鍵は配属後6カ月のオンボーディングです。設計の型は、賃金テーブルとオンボーディングの作り方(内部リンク)が実務的です。

4. 損失回避:やらないコストを可視化します

賃上げ非実施による損失期待値を試算します。離職、OEE低下、納期遅延、取引縮小が重なると、損失は賃上げ原資に匹敵しやすいです。つまり、経営は「いま払う賃金」「あとで払う損失」の二択になりがちです。

「いま払う賃金」か「あとで払う損失」か。経営は常に二択です。

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