
眠れていないと感じるあなたへ ― 睡眠時無呼吸症候群の可能性と、仕事や家庭を守るための睡眠改善
解説・執筆:笠原 藍(癒し系心理ケア解説者 / 元保育士)
【30秒でわかる】今回のポイントと結論
- 事実:菅良太郎さんが睡眠時無呼吸症候群の治療で快眠を取り戻した
- 背景:睡眠不足は仕事と家庭の損失を広げる社会的リスク
- 笠原の視点:眠りは「失わないための投資」—早めの相談が近道
眠りが浅いと、朝起きた瞬間から体が重く感じます。頭がはっきりせず、仕事に集中できない。「また今日も調子が出ない」と感じている人も多いのではないでしょうか。これは気合や根性の問題ではありません。体からの不調のサインです。NHKのニュースで紹介されたお笑いコンビ「パンサー」の菅良太郎さんは、睡眠時無呼吸症候群の治療を受けたことで、長く続いていた睡眠の質の低下から回復したといいます。働く私たちにとって、睡眠は仕事の成果や判断力を支える土台であり、家庭での余裕にも直結します。失ってから気づく前に、今できる対策を考えていきましょう。
睡眠時無呼吸症候群は、自覚しにくいのが特徴です。眠っている間に呼吸が何度も止まり、体は酸素不足の状態になります。そのたびに脳が覚醒し、深い睡眠に入れません。本人は眠っているつもりでも、実際には体が休めていないのです。その影響は翌日に現れ、集中力の低下、強い眠気、気分の不安定さにつながります。大きないびき、日中の耐えがたい眠気、朝の頭痛がある場合、「よくあること」と見過ごさないことが大切です。睡眠を整えることは、仕事のパフォーマンスを守り、家族との時間の質を守ることでもあります。
ニュースの内容はシンプルです。菅良太郎さんは、自分の睡眠の異変に向き合い、医療の力を借りることで改善しました。代表的な治療にはCPAP(持続陽圧呼吸療法)がありますが、口腔内装置の使用や寝る姿勢の調整、生活習慣の見直しなど、選択肢は一つではありません。治療と聞くと身構えてしまいがちですが、段階的に取り組める方法も多くあります。睡眠の質は、一気に変わるものではなく、少しずつ回復していくものです。朝の目覚めが楽になる感覚を、再び取り戻すことは可能です。
働く人にとって、睡眠は「削るもの」ではなく「守るべき投資」です。慢性的な睡眠不足は、判断ミスや事故リスクの増加、感情のコントロール低下、過食や飲酒量の増加、体重増加につながりやすいことが指摘されています(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット)。これらは少しずつ積み重なり、仕事上の信用やチャンス、家族との穏やかな会話を奪っていきます。いびきを記録するアプリや家族からの指摘は、弱さの証明ではありません。回復に向かうための入口です。適切なケアを重ねることで、集中力も日常の余裕も取り戻せます。
目次
- 睡眠時無呼吸症候群とは何か ― 働く人が知っておきたい基本
- 睡眠不足は、仕事と家庭の損失を静かに広げる社会的リスク
- では、どこから医療に相談すればいいのか
- 睡眠時無呼吸症候群では、どんな治療が行われるのか
- 治療すると、仕事と日常はどう変わるのか
「眠りは、失わないための投資。」

睡眠時無呼吸症候群とは何か ― 働く人が知っておきたい基本
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に呼吸が何度も止まる病気です。
10秒以上の無呼吸や低呼吸が一晩に何十回も起こり、そのたびに脳と体は覚醒状態になります。
ポイントは、本人に自覚がほとんどないことです。
睡眠時間を確保していても、実際には体が十分に休めていません。
睡眠時無呼吸症候群の主な特徴
- 寝ている間に呼吸が止まる、または浅くなる
- 酸素不足を補うため、脳が何度も目を覚ます
- 深い睡眠が取れず、疲労が回復しない
- その影響が、日中の仕事や生活に現れる
特に働く世代では、忙しさや生活習慣の影響で見過ごされやすいのが特徴です。
こんな症状があれば注意 ― よくあるサイン
次の項目は、単なる仕事疲れでは起こりにくいものです。
2つ以上が、週に3日以上続いている場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を考えてみてください。
□ 大きないびきや、呼吸が止まっていると指摘されたことがある
→ 睡眠時無呼吸症候群に最も特徴的なサインです。
□ 朝起きた瞬間から、頭が重い・頭痛がある
→ 睡眠中の酸素不足が関係していることがあります。
□ 昼食後だけでなく、午前中から強い眠気がある
→ 十分寝たつもりでも眠い場合は要注意です。
□ 夜中に何度も目が覚めるが、理由がはっきりしない
→ 無意識の覚醒が繰り返されている可能性があります。
□ 休日に長く寝ても、回復した感覚がない
→ 睡眠時間ではなく、質の問題が疑われます。
睡眠不足は、仕事と家庭の損失を静かに広げる社会的リスク
睡眠不足は、個人の体調不良にとどまりません。
放置されることで、仕事と家庭の双方に損失を広げる社会的リスクになります。
仕事の場面では、集中力や判断力の低下が、ミスや確認漏れを増やします。
本人がどれだけ注意していても、睡眠が不足している状態では、判断の質そのものが下がってしまう。
その結果、業務効率の低下、事故リスクの増加、信頼の揺らぎといった形で、職場全体に影響が及びます。
特に中小企業では、一人ひとりのパフォーマンスが組織全体に与える影響が大きく、損失は表に出にくいまま積み重なります。
家庭への影響も同様です。
睡眠不足が続くと、気持ちの余裕が失われ、些細なことでイライラしやすくなります。
会話が減り、家族への配慮が後回しになる。
それは意志の問題ではなく、回復できていない脳と体の状態が引き起こす変化です。
こうした状態が続くと、「本人の問題」として片づけられがちですが、
実際には、仕事の質、家庭の安定、そして周囲の負担を少しずつ削っていきます。
睡眠不足は、静かに広がるリスクであり、早めに手を打つことで防げる損失でもあります。
睡眠を整えることは、甘えでも贅沢でもありません。
仕事と家庭の両方を守るための、合理的な選択です。
では、どこから医療に相談すればいいのか
「病院に行くほどではない気がする」
睡眠の不調について、多くの人がそう感じます。睡眠時無呼吸症候群は、重症になるまで放置されやすい病気です。だからこそ、最初の一歩は大きくなくて構いません。
〇まずは、身近な相談先からでいい
□ かかりつけ医(内科)
→ いびきや日中の眠気、朝の頭痛などを伝えれば、必要に応じて専門医につないでもらえます。
□ 耳鼻咽喉科
→ 鼻や喉の構造が原因になっている場合、専門的な評価が受けられます。
□ 睡眠外来・呼吸器内科
→ 睡眠時無呼吸症候群を専門的に診る診療科です。紹介状がなくても受診できるケースがあります。

〇受診の目安は「深刻さ」ではなく「続いているか」
- いびきや眠気が1か月以上続いている
- 家族や同僚から繰り返し指摘されている
- 仕事や運転中の眠気が生活に支障を出し始めている
この段階で相談するのは、早すぎる判断ではありません。
むしろ、仕事や家庭への影響を最小限に抑えるための合理的な行動です。
〇検査や治療は、思っているより負担が少ない
現在は、自宅で行える簡易検査もあり、入院が不要な場合も多くなっています。
治療も、段階的に選べる方法が用意されています。
医療に相談することは、弱さの表明ではありません。
働き続けるためのメンテナンスです。
睡眠時無呼吸症候群では、どんな治療が行われるのか
睡眠時無呼吸症候群の治療は、症状の重さや原因に応じて選ばれます。
「いきなり大がかりな治療をする」というものではなく、段階的に、無理のない方法から始めるのが一般的です。
まず行われるのは、検査結果をもとにした状態の把握です。
無呼吸の回数や、睡眠中の酸素の低下具合などを確認したうえで、適した治療が検討されます。
最も広く行われている治療:CPAP(シーパップ)
中等症から重症の場合に多く用いられるのが、CPAP(持続陽圧呼吸療法)です。
就寝時にマスクを装着し、空気を送り込むことで、気道が塞がるのを防ぎます。
使い始めは違和感を覚える人もいますが、慣れると「朝の目覚めが明らかに違う」と感じるケースが少なくありません。
比較的軽症の場合:口腔内装置(マウスピース)
軽症の場合やCPAPが合わない場合には、歯科で作成する口腔内装置が使われることもあります。
下あごを前に出すことで、睡眠中の気道を確保する仕組みです。
装着が簡単で、持ち運びしやすい点が特徴です。
生活習慣や寝方を見直す治療もある
症状の背景に、体重増加や飲酒、寝る姿勢が関係している場合は、生活習慣の調整が治療の一部になります。
横向きで寝る工夫や、就寝前の飲酒を控えるといった対応だけでも、症状が軽くなることがあります。
大切なのは「続けられる形」を選ぶこと
どの治療にも共通しているのは、完璧を目指さないことです。
仕事や家庭との両立を考えながら、自分の生活に合う方法を選び、続けることが改善につながります。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、生活を制限するものではありません。
むしろ、本来の集中力や判断力を取り戻すための手段です。
治療すると、仕事と日常はどう変わるのか
睡眠時無呼吸症候群の治療を始めると、多くの人が最初に感じる変化は「朝の目覚め」です。
目覚ましが鳴る前に自然に目が覚めたり、起きた瞬間の重だるさが軽くなったりする。
それだけで、一日のスタートが変わります。
日中の変化も、少しずつ表れます。
会議中に意識が途切れにくくなり、資料を読んだ内容が頭に残りやすくなる。
判断に迷う時間が減り、「考えること」に使える余裕が戻ってきます。
これは能力が上がったわけではなく、本来の力が発揮できる状態に戻った結果です。
感情面への影響も見逃せません。
慢性的な睡眠不足が解消されると、イライラや焦りが和らぎ、人とのやり取りに余白が生まれます。
職場でのコミュニケーションが安定し、家庭でも穏やかな時間を持ちやすくなります。
もちろん、治療は魔法ではありません。
すべてが一気に変わるわけでも、忙しさが消えるわけでもない。
それでも、「眠れている」という実感は、仕事と生活を支える確かな土台になります。
働く人にとって、睡眠は削るものではなく、守るものです。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、健康のためだけではなく、
仕事のパフォーマンス、判断の質、そして家族との時間を守るための選択でもあります。
大きな決意は必要ありません。
気づいた今が、整え始めるタイミングです。
静かな一歩が、あなたの日常を確実に変えていきます。
参考・出典
・出典:対象ニュース・関連資料
(文・笠原 藍)
NEWS EVERYDAY for CEOs 中小企業のためのニュース深掘りメディア(URL:https://news-everyday.net/)













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