
ホンダF1復帰に学ぶ「ルール改正で勝つ会社」の先回り戦略(2026電動化時代)
解説・執筆:松永 渉(データ政策解説者 / 元日経記者)
【30秒で把握】データが語るニュースの深層
- 統計事実(Data):2026年F1は電動出力約3倍・合成燃料100%に
- 構造要因(Structure):規則改正でR&Dの重心がICE→電動・燃料へ
- 未来予測(Forecast):先回り企業は供給網と人材で10年優位に
350kW。2026年F1で導入されるモーター出力は従来の3倍、燃料は100%サステナブル。これは単なるレースの話ではない。規則のピボットは企業の技術資産と人材を揺さぶり、市場優位の配分を替える。ホンダの復帰は「規則改正を先回りする企業だけが得るリターン」を示す事例である。
目次
- 導入部:数字が突きつける現実
- 現状と構造
- 2026年F1パワーユニットとは?—定義と統計的定義
- データで見る「乖離」:規則・産業・市場のズレ
- 現場・社会への影響:企業・産業の損益分岐点
- 【Q&A】データ政策の論点
- 政策提言:感情論を排した最適解
- 将来予測:10年後のシナリオ
導入部:数字が突きつける現実
2026年、F1は電動出力約350kW、燃料は100%サステナブルへ。熱回生タービン(MGU-H)は廃止され、電動モーター(MGU-K)に負荷と価値が集中する。規則改正は、エンジン開発の勝者が変わるだけでなく、電動・燃料・制御の総合戦に変質することを意味する。ホンダは2021年にF1を撤退したが技術支援を継続し、2026年にアストンマーティンへパワーユニット(PU)供給で復帰する。撤退と復帰という一見矛盾する軌跡の背後には、「規則改正の前に動くこと」がもたらす超過収益への確信がある。
「F1は電動技術と脱炭素両方で挑む次世代モータースポーツへと進化している」
ホンダ 三部敏宏社長(出典:FNN)
損失回避の観点で見落としがちなのは、「動かないコスト」である。規則改正の前に投資を怠ると、技術・人材・供給網の再編に乗り遅れ、機会損失は複利で膨張する。IEA「Global EV Outlook 2024」によれば、2023年のEV(BEV+PHEV)販売比率は世界で約18%に達した。市場も規則も、ICE中心の過去とは非連続である。
「ルールが変わる前に動いた企業が勝つ」














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