
ノロウイルス食中毒「3日停止で75万円損失」——飲食店の標準対策5選と2035年予測
解説・執筆:松永 渉(データ政策解説者 / 元日経記者)
- 統計事実(Data):冬季のノロ食中毒は年間患者の7割以上が集中
- 構造要因(Structure):低温多湿で残存、少数粒子で感染、人的要因
- 未来予測(Forecast):人手不足下では衛生逸脱が増え、停止件数増加
「3日」。営業停止処分は短いようで長い。小規模なすし店なら売上で50万〜100万円、加えて廃棄・消毒・人件費・風評の隠れコストが積み上がる。宮城県内でのノロウイルス食中毒2件は、冬季に繰り返す「季節性リスク」が、いかに信用とキャッシュを奪うかを示す定量的事例である。本稿は、数字で現実を直視し、失う前に守るべき「衛生×信用×キャッシュ」の実務解を示す。
目次
導入部—数字が突きつける現実
宮城県・仙台市で相次いだノロウイルス食中毒(3日間の営業停止)。報道ベースの事実は、患者計13人、従業員2人からウイルス検出、重症者なし、停止は24日から3日間である。数字は小さいように見えるが、経営への打撃は大きい。小規模店の1日売上が20万〜30万円なら、3日で60万〜90万円の売上機会が消える。食品の廃棄と消毒、従業員の調整コストを加えれば損失は100万円に迫るケースも珍しくない。
厚生労働省の統計では、ノロウイルスは毎年患者数で最多の原因であり、冬季(概ね11〜3月)に年間患者の7割以上が集中する傾向が長年確認されている。感染に必要な粒子数が少ない(10〜100個程度)こと、環境中での残存性が高いこと、調理者の健康管理の難しさが重なる。すなわち、構造リスクである。「運が悪かった」で済まない。
本稿の主眼は「損失回避」にある。売上を伸ばす前に守るべきは、衛生(HACCP)、信用(透明な対応)、キャッシュ(固定費耐性)である。筆者の結論を先に述べる。「3日で失う売上」を起点に逆算し、5つの標準対策に投資した飲食店は、冬季の停止確率と停止期間をともに低下させ、10年の累積キャッシュフローで優位に立つ。
「売上より先に守るのは『衛生×信用×キャッシュ』である」













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